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ひと味違う地理問題

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トヨタ、自動車販売3年連続世界一、でも将来を考えると暗雲が…これでは心配ですよね?

2022年はトヨタグループ(ダイハツと日野含む)の強さがダントツ!

 トヨタ自動車は去年1年間の世界販売台数が1000万台を超えたと発表しました。3年連続の世界トップ、2年連続の1000万台越えとなりました。トヨタが発表したグループ全体での世界販売台数はコロナ禍にもかかわらず前の年と比べ0.1%減少の1048万3024台でした。
 ドイツのVWは世界販売が826万台だったため、トヨタが3年連続で年間トップとなりました。下のグラフのように2位のVWグループをどんどん引き離していく年になり、2020年21年に続き3年連続世界一になりました。(参考:下のグラフ=日経新聞2023.12.26.)

☆トヨタをけん引したのは中国や東南アジアで、「カローラ」や「カムリ」といった車種が好調だったほか、夏に工場の生産能力を増強し、コロナ禍の落ち込みから回復し始めた旺盛な需要を取り込みんだことがあります。

多目的スポーツ車(SUV)などが好調で、インドネシア(1割増)やタイ(2割増)などで販売を伸ばしました。ただ、トヨタ単体の中国での販売は2%増にとどまりました。

 VWは中国でのロックダウンにより、部品供給や海上輸送の混乱が響きました。中国で6%減と苦戦し、他のアジア太平洋地域でも6%増にとどまりました。ドイツ(ウォルフスブルク)の本社工場の稼働にも影響し、販売台数が大きく落ち込みました。VWの新車販売の4割、トヨタでも2割を占める中国市場が明暗を分けたようです。

ただ、No,1のトヨタも将来を考えると暗雲☁が漂うようです

2022 トヨタVSGM
Q,2022年のEV電気自動車世界販売、日本メーカーは合計でも5%以下しかないの?  

 日本が世界に誇る産業と言えば自動車だが、その牙城が危うくなってくる。現在のガソリン車やハイブリッド車では日本メーカーが健闘しているが、将来の中心になるEV車では完全に出遅れている。海外と日本の自動車メーカーの脱炭素化を巡る戦略の違いが際立っている。

 調査会社マークラインズのデータから日経新聞社が独自に算出したところ、2022年の電気自動車(EV)の世界販売に占める割合は中国のメーカーが4割を占める見込みだ。

米国メーカーが3割、欧州が2割となる一方、日本メーカーは5%以下になる。ハイブリッド車(HV)を日本が重視しているのが主因だが、拡大するEV市場での存在感がさらに低下しかねない

22年1~11月の世界のEV販売台数は約680万台だった。既に21年暦年の約1.5倍の水準となっている。自動車全体の販売に占めるEVの比率も約6%から約10%に高まった。

国別1位は比亜迪(BYD)などの中国メーカーで、約290万台だった。BYDは世界最大のEV市場の中国のほか、アジアなどでも力を入れる。今年は日本にも進出する。

2位はテスラなど米国メーカー(約210万台)が3割。続いてドイツのVWやフランスルノーなど欧州メーカー(約120万台)が2割を占めた。 中国と米国、欧州メーカーでEV世界市場の9割を占める。日本でもこれまでの日産リーフだけで無くテスラ車が我々の目の前を走り始めている。

 トヨタホンダ日産など日本の主要メーカーは11月までで約20万台でシェア2~3%だったので、年間を通しても5%以下になる見通しだ。
 
 しかし、一昔の2010年前後にはEV世界市場が数千~数万台規模だったが日本勢が7~9割のシェアを占めていた。三菱自動車が09年に世界初の量産EVの「アイ・ミーブ」を、日産は10年にEVの初代「リーフ」を発売し、EVも日本車がリードするかに見えたのに。

☆以下の表はメーカー別の世界販売台数を総数とEV車を並べて表示したものである。
(東京新聞2023年1月30日よりお借りしたもの。)

自動車メーカー別販売台数
Q,中国や米国車がEV車で大きくリードしたは背景は?

 その後中国や米国がシェアを伸ばした要因は大きく2つ。
まず、地球温暖化が注目を集める中で①脱炭素化の加速で全地球的命題になった。
走行中に二酸化炭素(CO2)を排出しないEVの評価が高まった。
EVはガソリン車より部品点数が少なくテスラやBYDなど新興勢が台頭しやすかった。      

次に②ハイブリッド車を取り巻く環境と米中欧メーカーの戦略の変化だ。

ディーゼルエンジンの排ガス数値を不正に操作した「ディーゼルゲート」がVWで15年に発覚。それまではディーゼル車の燃費向上策が競争の中心だったが、欧米車メーカーはハイブリッドを飛び越え、一気にEVにシフトする戦略をとった。

その判断の裏にはトヨタホンダなど日本メーカーが強みを持つHV市場での勝負を避ける思惑もあった。

欧州の各国政府も環境保護団体もEV化を後押しし、HVを含めたガソリン車を30年代に販売禁止にする目標を相次ぎ公表している。「トヨタバッシングでは」との声もある。

Q,日本車と日本政府の今後の戦略は?

 日本政府は車検時などにかかる自動車重量税の「エコカー減税」で、燃費基準を達すればEVや燃料電池車(FCV)などとともにHVを優遇している。

日本メーカーは電池のコストの高さなどから、EVよりもHVが実際の脱炭素につながるとみてHVを重視する戦略をとってきた。

再生エネルギーの普及が遅れる日本では、火力発電でつくった電気でEVを動かしてもCO2 排出削減効果が高まらないとの見立てもあった。


ただ日本の人口は減少しつづける予想がされ、自動車市場は既に世界販売の5%程度にすぎない。HVにこだわって日本市場を重視しすぎて世界の潮流を読み間違えれば、国際競争力が落ちこみ日本全体の凋落化につながりかねない。


日本メーカーでも各社がEVシフト計画を発表し始めているが、半導体の二の舞になりそうで心配で仕方が無い。(参考:東京新聞2022年12月13日・2023年1月30日、TBS.news2023年1月30日、日経新聞2022年12月29日


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